「第5波」の大阪府では、「入院」「宿泊療養」「自宅療養」のそれぞれについて、新たな試みがスタートしている。
病院…重症・中等症 一体診療

大阪府が最も重視してきたのが病床拡充だ。
第4波では重症患者が449人に上り、確保していた病床数365床を超える状況が発生。一部を軽症・中等症病床で治療する事態に陥った。
そこで第5波では、重症患者を府内に約550床しかない集中治療室(ICU)だけで受け入れる方式を転換。軽症・中等症の患者を診る病床も、人工呼吸器などの機材や医療スタッフを備えていれば重症病床として活用することになった。
こうした病床を持つ医療機関を「中等症・重症一体型病院」に指定したことで、重症病床は飛躍的に増加。現在の588床の6割は一体型病院の病床だ。
一方、軽症・中等症病床は難航した。第4波より増え2579床になったが、目標の3000床には届いていない。
府は現在も各病院に増床への協力を求めている。国の制度で緊急事態宣言中は確保した病床1床あたり重症1950万円、軽症・中等症900万円の補助金が支給されるが、どの程度確保できるかは不透明だ。
宿泊療養…一部、臨時の医療機関化

第5波で重要性を増しているのが宿泊療養施設だ。
これまでは感染者を隔離し、健康状態を見守るのが主な役割だったが、第5波で大阪府の吉村洋文知事は療養用ホテルを「軽症患者向けの医療機関」と位置づける方針を表明。施設数増と、提供できる医療サービスの拡充を図っている。
現在、府内で稼働するのは21施設5999室で、第4波より2000室以上増えた。各ホテルに看護師4人程度が常駐し、酸素投与ができる部屋も備える。オンラインで結ばれた医師の診察も受けられる。
26日からは、うち1施設を法律に基づく臨時の医療施設と位置づけ、重症化を防ぐ「抗体カクテル療法」が実施されている。他のホテルでは、医師が往診し、抗体カクテル療法を実施することを目指している。
療養用ホテルは9月中旬には31施設8400室に増える。また新たな受け皿として、ホテルのような個室より、少ない人手で健康観察が可能な大フロアにベッドを並べる「野戦病院」的な施設を設けることも検討されている。
自宅療養…看護師が訪問 健康観察

入院・療養している感染者のうち、7割近くを占めるのが自宅療養者だ。入院や宿泊療養に比べ、容体急変への対応が難しいが、40歳未満が原則、自宅療養となったことで、さらなる増加が予想される。
自宅療養者には各保健所が血中の酸素濃度を測定する「パルスオキシメーター」を貸し出し、測定値を報告してもらうなどして健康状態を把握する。第4波の途中からオンライン・電話で医師の診察を受け、薬局から薬を届けてもらうこともできるようになった。
第4波で19人が自宅で死亡し、第5波で始まったのが看護師による訪問だ。「訪問看護ステーション」から派遣され、直接、患者の健康観察を行う。自宅療養者が容体悪化を感じた時、マイカーなどで足を運んで受診できる外来窓口のある病院も約50か所指定された。各病院では「抗体カクテル療法」を順次開始している。
残る課題が医師の往診体制の充実だ。現在、医師の往診は夜間休日に限られており、府は平日の日中にも往診を可能とするため府医師会に協力を求めている。